3年12班の愉快な面々 23

コートに戻ったKは痛めた足でトントンと床を叩いてみた。痛みは無い。(よし!行くぞ!)

ジャンプボールで再開したゲームは直ぐに動き出した。相手は得意の空中戦を仕掛けて来るがゴール下にはKがいる。しっかりリバウンドを抑え前線のRへボールを送る。

「速攻!」シュートが決まった。

点差は4点。相手がボールを回す。しかしRは油断なくボール回しを見る。(今だ!)何気なく回した相手のパスボールを手を伸ばしカットした。「ヨシッ!」Rはそのまま持ち込む。シュートしたボールはリングに沈んだ。

点差は2点。相手も必死だ。相手のエースがロングシュートを決める。すかさずRが持ち込みOが決める。入れられては入れ返すの攻防が続く。時間は過ぎて行くのに点差は縮まらない。

時間が1分を切った。

(くそ、時間が…あと2点が遠いな。)相手は時間ギリギリまでボールを支配すると思いきや、急に切り込んで来た。Kは体を張ってゴール下を守る。

相手の放ったシュートが低い。Kは手を伸ばしブロックするとRがボールを持って走り出す。Kが後を追う。

時間が迫る。おそらく最後のプレーになる。

敵陣の前でRはノールックパスをOに出した。相手がブロックに立ち塞がる。Oはシュート体制からフェイントをかけた。相手のジャンプのタイミングがズレた。しかし他のディフェンスが壁を作る。

その瞬間、視界の端にKの姿が見えた。時間がない! Oは迷わずKにバスを出す。Kはシュート体制に入った。不安定な格好で相手ディフェンスが覆いかぶさって来た。

「ピィッ!」
「ディフェンスファール!」
Kの手を離れたボールはボードに当たってリングに吸い込まれた。

審判は手を挙げて「バスケットカウント ワンスロー!」を宣言した。電光掲示板に点数が入る。東京62ー62愛知

「ヨッシャー!」
両手を突き上げて喜ぶ東京の選手たち。時間は1秒残っている。フリースローはKが投げる。(決まれば優勝だ!苦しかった事、悔しかった事…全てこの為だ。思い出せ…)

ゆっくり振りかぶった腕がしなり綺麗な弧を描いてボールはリングに吸い込まれた。「ピッ!」とホイッスルが鳴り、続けて「ピィー!」と長いホイッスルが鳴った。電光掲示板の時計がゼロを表していた。

「試合終了!」東京63ー62愛知「やったー!優勝だー!」コートの5人とベンチの全員が飛び上がって喜んだ。観客席で見守っていた、Eスを始めとする女子も「キャー!」と歓声を上げた。

コートの5人は親指を立てて女子に(やったぞ!次はお前達の番だ!)とサインを送った。大きく頷いたEスは皆に向かって「さぁ、次は私達の番よ!気合い入れて行くよ!」と声を掛けた。「行くよ!私達も負けられないよ!」皆声を上げてコートに降りて行った。

コートに下りると「Eス、今度はお前達だぞ!男女優勝だぞ!」とエースのOが声を掛けてきた。Eスは「やったね、凄いよ!私達も負けないよ!」と笑った。

コート上ではアップが始まっていた。相手は春の決勝と同じ相手の大阪である。春も苦しい戦いだった。今度は相手も余程の覚悟を持って挑んで来るだろう。だが、負ける訳にはいかない。改めて決意を噛み締め拳を握りしめるEスだった。

両校選手がコートの中央に集まった。
「ピッ!」
ジャンプボールで試合が始まった。

3 COMMENTS

東京朝高バスケ部応援団

作者さん、ありがとう😊
ハラハラ、ドキドキ感が凄すぎましたよ!
男子、優勝おめでとう🎉

🏀

ジャンプボール、懐かしいな。負けた記憶がない⤴️😊
確か高2の時。ロングの大会で大阪へ行った私たちは、経費節約の為、大阪朝高の選手宅に分散してホームステイしました。かなり迷惑な話ですよね、今思うと😊 私が泊まった先は、すき焼きで歓待してくれて、こーんなに(どんなだ)フカフカの布団を用意してくれた。
ありがたかったな~。良い思い出。

匿名

こんなにドラマチックな
優勝の瞬間があるなんて…
想像してませんでした✨✨✨
作家さん!
ありがとう〜🏆🏆🏆
5人が親指を立てて
試合を控えだ女子へ送るエール👍
とても感動的でした〜💕

現在コメントは受け付けておりません。