3年12班の愉快な面々 24

前日の夜…
一緒に頑張って来た同級生が部屋を訪ねて来た。「Eス、いよいよ明日が最後の試合だね。頑張ってね。これまで3年間一緒に汗流して苦労して来たけど…私は出れないけど、気持ちは一緒だから…私の分も頑張ってね…」と言いながら目を赤くして手を握って来た。Eスは目頭が熱くなり手を固く握り返して「あなた達の分まで頑張るから、必ず金メダル獲るから!」と固く約束した。

試合は始まりから白熱した。
前評判は東京が圧倒的に優勢で、おそらく優勝は間違いないと言われていた。東京はゆっくりとしたプレーでゲームに入って行った。内的にはアドレナリン満載だが、それを押し殺して丁寧なプレーを心がけた。

一方相手の大阪は春の敗戦を払拭すべく、スタートから全力で臨んできた。鬼気迫る表情でボールを追って来る。その気迫に押されて試合の序盤は大阪ペースで進んだ。

オフェンス、ディフェンス共に体を張ったプレーで当たって来る。フィジカルも相当鍛えて来たみたいだ。力強いプレーでゲームを支配しようとした。しかし東京は上手く受け流しながら、負けじと点数を重ねた。Eスは、はやる気持ちを抑えて普段のプレーを心がけようとしていた。

監督との試合前のミーティング。
「大阪は春の屈辱を晴らす為に相当ハードな練習をやって来たらしい。だから序盤からハイペースで臨んで来る筈だ。うちはそれに合わせる必要はない。落ち着いて相手のペース、挑発に乗るな。いいか!自分達のペースを守って余裕あるプレーを忘れるな。勝負は後半だ!」

監督の予想通り相手はハイペースで試合を運ぼうとしてた。しかし東京は自分のペースを守って試合を進めた。乗ってこない東京の動きに、相手の焦りが見え隠れした。
「ピィー!」

ホイッスルが鳴り前半が終わった。
東京17-12大阪
それでも東京リードで 前半を折り返した。

ハーフタイム
「よ〜し、よく我慢した。思った通り大阪はハイペースで来たな。案の定、体力を大分消耗したみたいだが、こっちはこれからだ!後半戦からはギアを上げて行くぞ!パワー全快でお前らの力を見せつけてやれ!」
「はい!」

Eスは皆に「さぁ、ラスト20分よ。今までの努力を見せられるのもこの時間しかないのよ。後悔のない様に全力でプレーしよう!また、一緒に頑張って来たけどコートに立ててない仲間達の分も…」ここでEスは声を詰まらせた。

「私達のプレーで答えて、優勝をプレゼントしてあげようよ!」と声援を送ってくれる仲間達を見ながら、選手達に声をかけた。選手達は力強く頷いてスタンドを見た。

「ピィッ!」後半戦が始まる。
「さぁ、行くよ!」「はい!」
声を上げてコートに飛び出して行った。

後半戦は前半とは打って変わって東京が積極的に前に出た。大阪も鍛えて来ただけあって東京のパワープレーに真っ向から向かって来た。一進一退のシーソーゲームが展開する…が、前半のオーバーワークが響いて来たのか、徐々に大阪のスピードが落ちて来る。

水も飲まず 練習に明け暮れて来た東京は、スピードが落ちる事はなかった。Eスのロングシュートも効果的だった。攻撃に行き詰まって来た時も「Eスに回せば何とかなる!」とボールを集める。敵がそれを察して Eスにディフェンダーをつけると、それ以外のプレヤーにパスが行き点数を入れると言う風に、東京はコートを縦横無尽に走り回った。

試合時間も残り少くなり、最後のボールがEスに渡った。Eスはボールに最後の気合いを入れてロングシュートを放った。放ったボールのゴールへの軌道を確認したEスは、スタンドで応援する仲間達に向かって腕を高く上げた。

ボールは高く弧を描いてリングに吸い込まれた。 「ワーッ!」 と声援が上がった。

「ピィー!」「試合終了!」

その瞬間、ベンチもスタンドも飛び上がって歓喜に包まれた。「やったー!男女同時優勝だー!」口々に喜びを表した。

目標である「男女同時優勝」を成し遂げたEスを始めとする選手達は、試合後に集まって来た応援した仲間達に、眩しく輝く金色のトロフィーを手渡した。

昨晩訪ねて来た同級生は目に涙を溜めてトロフィーを抱きしめた。そして、Eスに「ありがとう…」と言った。Eスは微笑みながら彼女の手を握った。

東京のロング部員は優勝の喜びを胸に帰路についた。心地よい気だるさと喜びがEスの全身を包む。名鉄電車に乗り、空いた席に座り目をつむってると男子達が何か騒いでいる。

「えーっマジで?」「何で?」「信じられないよー」と言う声が聞こえる。「何?どうしたの?」と皆が集まりスポーツ新聞の見出しを見つめた。

一面にデカデカと「エルヴィス プレスリー死亡」と載っている。「プレスリーが死んだんだ…」 男子達は悲しんでいた。Eスはあまりピンと来なかったが、何となく、ひとつの時代が終わった様なちょっと寂しい気持ちになった。

だが、すぐに気持ちを切り替えた。彼、彼女達にはマジンガーが知らない秘密の楽しみが控えていたから…

数時間後、彼等の姿はビルの屋上にあった…

9 COMMENTS

🏀

男女優勝の高揚感、しっかり思い出しました。試合の臨場感から選手達の心の描写、練習のつらさや楽しい部活生活まで見ていたように?笑、描いてくれてありがとう。ロング部、楽しかった3年間が思い出され得したような嬉しい気分です。最後に、ビルの屋上ね~笑 あれは池袋東武デパートだったな~😊ロング部にカンパ~イ⤴️

🏀2

作者さん、男女優勝して頂きありがとうございます😊✨⭐️高校3年間、ロング部の朝練、夏合宿、遠征試合、日本高校との沢山の試合経験、そして中央大会、素敵な青春時代にタイムスリップさせて頂きました。😊

匿名

(^o^)わーい(^o^)高校3年の最後の試合、男女ダブル優勝🏆本当におめでとう〜✨✨今夜から安心して眠れます(笑)
もし時が一瞬でも戻れるのなら、コート脇で大声で応援したかったなぁ💕

応援団1

作家のこの短編にかける意気込みを感じています。この小説、空想とか想像の域を超えて、緻密にまた綿密に計算されて時間をかけて書いているのが判ります。その時の時代背景を調査し、関係者に取材やアポ取りをしているのですか?とても気になります。どちらにせよ素晴らしい小説です。作家さんとイラストレーターとの相性も抜群です。ただただ感謝とすごーーーいとしか表現できないです。頑張ってくれ!応援してるよ。

🏀🏀

男女優勝ありがとうございます。現実には無かった事なので、良かったのかな・・・3年ていうか、夏休みまでなので2年半?練習厳しかったけど素晴らしい仲間がいたから耐えて来れたんだね。サイコー😍事件もいっぱいありましたね。あんな事、こんな事、思いだ出せてくれたこの物語に心から感謝です。次のお話は?期待してます。

流川 楓

朝高さんよ、一戦交えたかったな フッ。

匿名

辛くても楽しそうな運動部の様子がよくわかりました。これで一年の半分が過ぎましたね。次は何部かな?笑 運動会や尾瀬もありますね。たーーーのしみにしてます。

レミまま

ロング部、最高😃⤴️⤴️
最近、マジンガーが子供👧ちゃりに乗せてる所に出会いました❗ご近所なもので…

🏀

さすがに孫じゃない?笑笑
チャリのバスケットに、バスケットボール🏀積んでなかった?笑
孫でもしごいてそう笑
レミママさん、誰だろう?😊
同窓会で声掛けてね🍀

現在コメントは受け付けておりません。